2010年6月29日火曜日
オザケンのレンズ
オザケンこと小沢健二の京都でのライブに行って来ました。
普段は、油でそのままこさえた中華料理屋の壁のよーにギトギトした僕の頭の中も、
この日とばかりは、ちょっとは爽やかな風が吹いたはずや……。たぶん。
ライブ半ば、サプライズでスチャダラパーが出てきた! 鼻血がとびでたよ……
もちろんこの曲でロックし続けてくれた。
オザケンは1曲歌い終わるごとに、
詩のような、エッセイのような、紀行文のような文章を、淡々と、静かに朗読していた。
それもあって、会場は熱狂! というよりは、なんだか落ち着いた雰囲気。
1曲ごとに立ち上がって踊ったり、座り込んでじっと聞いてたりするライブというも何だか良い味、
オザケンは、色んな話をしていたけれど、
簡単にいうと「日常を異化する視点」というか、
「いつもの風景がいつもと違ってみえる」瞬間や経験について語っていた。
ちょっとした経験や出来事で、見えてる世界が変わってしまう。
また離れてみたり、近づいてみたりして、初めてわかることもあって、
「同じ」とおもってたものが「違う」になったり、その逆になったり。
いつも目の前のエサに飛びついてしまう僕には耳の痛い話、
そうそう、近視眼的になりすぎちゃわからんこともあるよなぁ。
このあいだ嫁さんに教えてもらったばかりのフランスのコメディアン ブノワ・ポールヴールド(Benoît Poelvoorde)。
このおっさんは、映画『ココ・アヴァン・シャネル』でエティエンヌ・バルザン役ででてたけど、阿呆うやな~。
そいえば、
数学者の森毅さんは、「できるだけ多くのレンズを集めたい」と言っていた。
レンズというのは視点、のことで、
例えば、この図の中のAとBは違って見えるんだけど、
実は同じ色なんだな、とか。
自分で補助線をひくとこではじめて見えたりもして。
レンズ(=見方)が違えば、違う形、色、像が浮かび上がるやろと。
同じ雪でも、イヌイットにとっては百種類もあったり、虹の色の数は文化によって異なるし、
僕が録りためた百本近いNBAの試合のビデオは、
オカンにとっては「黒人ばっかりで、いつも同じ試合や」となる。オカン、暴力や。
● 小沢健二
LIFE~ 小沢健二 (CD)
球体の奏でる音楽~ 小沢健二 (CD)
● ものの見方、見え方
アジアの形を読む (形の文化誌) (単行本)
森毅のレンズの話が載ってる。
見えるものと観えないもの―横尾忠則対話録 横尾 忠則 (文庫)
横尾忠則対談集~! 一々ぶっとんでてサイコー。
見えるものと見えないもの M. メルロ・ポンティ (単行本)
本家、みえるものとみえないもの
超芸術トマソン 赤瀬川 原平 (文庫)
ものの見方の達人。赤瀬川原平。
汝の敵を愛せ:Dangerous Emotions (単行本) アルフォンソ リンギス (単行本)
旅する哲学者アルフォンソ・リンギスのエッセイ。1ページ1ページの濃厚さに圧倒される。
磁力と重力の発見〈1〉古代・中世 山本 義隆 (単行本)
磁力と重力の発見〈2〉ルネサンス 山本 義隆 (単行本)
磁力と重力の発見〈3〉近代の始まり 山本 義隆 (単行本)
ある物とある物が引きよせあう不思議な力=「磁力」と「重力」を人はどういう風に見えて、どう捉えてきたか。
2010年6月25日金曜日
娼婦な名前(Hooker! Hooker! Hooker!)
ジョン・リー・フッカー(John Lee Hooker) という名の偉大なブルースマンがおって、
Hookerというのは苗字だけど、Hooker即ちこれ「娼婦」という意味のスラングでもあって、
本人もそんな名前がついていても、名前の迫力に負けないイカツイ風貌、
じっさいかっちょよくってたまらん。
John Lee Hooker: Boom boom
ジョン・リー・フッカーを知ったのは、カナダはトロントのレコード屋でのこと(店名はわすれた)。
まだ10代でだった僕は、店長らしきヒゲづらおっさんに
「ねぇ、なんか、ブルースでイカシタものあるかい? ほら、こう、卑猥な感じのサウンドでさ…」
といいたかったんだけど、
当時の僕は「卑猥」を表す単語がわからず、いかんせん拙い英語、
あれやこれや試みたが、全く伝わらず、 思いつく限りの単語を並べてたら、
それみたことか大阪京橋生まれの卑しき素性まるだし、
「アレや、エロイ、何やおっさん、キース・リチャーズのフレーズみたいな、変態ちょめちょめ、娼婦や、娼婦! Hookerっていうんか、え!? なんつーかna 、Hooker!, Hooker!, そんなブルースを聴きたいんや!」
みたいに言ったのだ。
しかし、アホの一念、岩をも通す。
さっきまでは理解不能の黄色猿がわめいちまってるぜ、といった様子だったヒゲづらは、オーライ! と要を得た様子。どうやら、僕の熱いソウルが伝わったんだな。
手渡してくれたレコードが、ジョン・リー・フッカーだったのだ。
ジャケットに書かれたHookerという文字、顔をみればだれもがパンツを脱いでしまうその形相、
僕は自分が探していた音楽であることを直感して、これやこれ!
Tom Waits - Chritmas Card From a Hooker in Minneapolis
トム・ウェイツの名曲、『ミネアポリスの女からのクリスマス・カード』という邦訳がまかりとおっているが、『ミネアポリスの娼婦からの』やないんか?
◎ ジョン・リー・フッカー(John Lee Hooker)
It Serves You Right to Suffer [Original recording remastered] John Lee Hooker (CD)
Live At The Cafe Au Go-Go (And Soledad Prison) John Lee Hooker (CD)
ブルースブラザーズでも歌ってたね。
ブルース・ブラザース ジョン・ランディス監督[DVD]
◎ Tom Waits (トム・ウェイツ)
『ミネアポリスの女からのクリスマス・カード』が入ってる
Blue Valentine Tom Waits (CD)。
娼婦たちの晩餐 ~ライヴ Tom Waits (CD)
実は、
Hookerという名前は実はぼちぼちある苗字で、地名もある。
(当時はそんなことも知らなかったけど。)
John Lee Hookerは芸名でもなんでもなくって、本名。
しかしまぁ、それはそうとして、
フッカーという語が、何ゆえ娼婦を表す語になったんやろか?
と思って、ざっくり、テキトーに調べてみた。
といってもネットの落ちてる記事をつまんだだけなんで、信憑性のほどはわかんねけど、
それが、めぐりめぐって、
極東の島の猿が北米のレコ屋のオッサン(白人)にむかって、
どこで知ったかこの言葉、
Hooker、Hooker、Hooker、
と連呼することになるのです。
まぁ、超テキトーに調べただけなんで、
どなたか興味ある方、是非しらべてみてください
(参照URL)
● 語源など
・World Wide Word: hookerの項
・Online Ethmology Dictionary
● ジョセフ・フッカー Joseph Hooker
・Joseph Hooker :wiki(英語)
・ジョセフ・フッカー :wiki(日本語)
・南北戦争時の性に関する本”The story the soldiers wouldn't tell: sex in the Civil War”の第14章(ジョセフ・フッカーに関する章)がネット上で読める。
● ロバート・グリーン (Robert Greene)
・Robert Greene :wiki(英語)
Robert Greene著 The Art of Conny Catching second partがweb上で読めるみたい。
・The Art of Conny Catching first part
・The Art of Conny Catching second part
Hookerというのは苗字だけど、Hooker即ちこれ「娼婦」という意味のスラングでもあって、
本人もそんな名前がついていても、名前の迫力に負けないイカツイ風貌、
じっさいかっちょよくってたまらん。
John Lee Hooker: Boom boom
ジョン・リー・フッカーを知ったのは、カナダはトロントのレコード屋でのこと(店名はわすれた)。
まだ10代でだった僕は、店長らしきヒゲづらおっさんに
「ねぇ、なんか、ブルースでイカシタものあるかい? ほら、こう、卑猥な感じのサウンドでさ…」
といいたかったんだけど、
当時の僕は「卑猥」を表す単語がわからず、いかんせん拙い英語、
あれやこれや試みたが、全く伝わらず、 思いつく限りの単語を並べてたら、
それみたことか大阪京橋生まれの卑しき素性まるだし、
「アレや、エロイ、何やおっさん、キース・リチャーズのフレーズみたいな、変態ちょめちょめ、娼婦や、娼婦! Hookerっていうんか、え!? なんつーかna 、Hooker!, Hooker!, そんなブルースを聴きたいんや!」
みたいに言ったのだ。
しかし、アホの一念、岩をも通す。
さっきまでは理解不能の黄色猿がわめいちまってるぜ、といった様子だったヒゲづらは、オーライ! と要を得た様子。どうやら、僕の熱いソウルが伝わったんだな。
手渡してくれたレコードが、ジョン・リー・フッカーだったのだ。
ジャケットに書かれたHookerという文字、顔をみればだれもがパンツを脱いでしまうその形相、
僕は自分が探していた音楽であることを直感して、これやこれ!
おっさんと僕はHooker! Hooker! Hooker!と連呼して抱き合った。
Tom Waits - Chritmas Card From a Hooker in Minneapolis
トム・ウェイツの名曲、『ミネアポリスの女からのクリスマス・カード』という邦訳がまかりとおっているが、『ミネアポリスの娼婦からの』やないんか?
◎ ジョン・リー・フッカー(John Lee Hooker)
It Serves You Right to Suffer [Original recording remastered] John Lee Hooker (CD)
Live At The Cafe Au Go-Go (And Soledad Prison) John Lee Hooker (CD)
ブルースブラザーズでも歌ってたね。
ブルース・ブラザース ジョン・ランディス監督[DVD]
◎ Tom Waits (トム・ウェイツ)
『ミネアポリスの女からのクリスマス・カード』が入ってる
Blue Valentine Tom Waits (CD)。
娼婦たちの晩餐 ~ライヴ Tom Waits (CD)
余談
実は、
Hookerという名前は実はぼちぼちある苗字で、地名もある。
(当時はそんなことも知らなかったけど。)
John Lee Hookerは芸名でもなんでもなくって、本名。
しかしまぁ、それはそうとして、
フッカーという語が、何ゆえ娼婦を表す語になったんやろか?
と思って、ざっくり、テキトーに調べてみた。
といってもネットの落ちてる記事をつまんだだけなんで、信憑性のほどはわかんねけど、
- 時は、南北戦争(1861年 - 1865年)の頃にジョセフ・フッカー(Joseph Hooker)少将というオッサンがいた。
- オッサンは好色漢とされており、オッサンの部隊の司令部は「酒場と売春宿があわさったようなトコ」とか、オッサンがつれてたオネエちゃん達は「フッカー将 軍部隊("General Hooker's Army" or "Hooker's Brigade.")」と言われた。
- そんなこんなで、Hooker = 娼婦、というスラングができた。
- とまことしやかに、いわれちゃったりするのだが、実は、「Hooker」という語はこのオッサンが世にしられるずっと前から、ローカルスラングとして存在していたらしい。 (※1)
- それは、Hook =窓から、家のものをパクル=盗人、とか転じて、窓から客をとる=娼婦というスラング。
- Hookerというスラングは一部の地域で随分前から存在してたけど、Joseph Hookerっちゅうおっさんの好色漢の風評によって、全国的にひろまっちまったスラング。
それが、めぐりめぐって、
極東の島の猿が北米のレコ屋のオッサン(白人)にむかって、
どこで知ったかこの言葉、
Hooker、Hooker、Hooker、
と連呼することになるのです。
まぁ、超テキトーに調べただけなんで、
どなたか興味ある方、是非しらべてみてください
(参照URL)
● 語源など
・World Wide Word: hookerの項
・Online Ethmology Dictionary
● ジョセフ・フッカー Joseph Hooker
・Joseph Hooker :wiki(英語)
・ジョセフ・フッカー :wiki(日本語)
・南北戦争時の性に関する本”The story the soldiers wouldn't tell: sex in the Civil War”の第14章(ジョセフ・フッカーに関する章)がネット上で読める。
● ロバート・グリーン (Robert Greene)
・Robert Greene :wiki(英語)
Robert Greene著 The Art of Conny Catching second partがweb上で読めるみたい。
・The Art of Conny Catching first part
・The Art of Conny Catching second part
(※1)
例えば
① 1859年の John Bartlett’s Dictionary of Americanisms という辞書にのってたり。
Hookerという語の意味するところは,
例えば
① 1859年の John Bartlett’s Dictionary of Americanisms という辞書にのってたり。
”TO HOOK. To steal. A common vulgarism”
(う平訳):「フックするとは……盗みをはたらくこと、一般に卑俗、卑猥)」② 1845年に、ある学生からクラスメート宛に書かれた手紙の中で娼婦を意味する語としてHookerが使用されている。
The story the soldiers wouldn't tell: sex in the Civil War Thomas Power Lowry
"If you comes by the way of Norfolk, you will find any number of pretty hookers in the Brick Row, nofar from French's Hotel"
(う平訳) : もし君がノーフォークを通って来たなら、フレンチズホテルからさほど遠くない、ブリック・ロウで、きっとたくさんの可愛いhookerを見つけることだろうよ。③ ルネッサンス期の英国人劇作家 ロバート・グリーン (Robert Greene 1558–1592)によるHookerの記述
Hookerという語の意味するところは,
"pull out of a window any loose linen cloth, apparel, or else any other household stuff” The Art of Conny Catching
(う平訳) : 「垂れ下がったリネンの布、衣服、その他家庭用品を、窓からら引っ張る(パクる)」とあって、これが、娼婦が客をひく、というのをほのめかしてる。らしい。
2010年6月21日月曜日
怠けものスイッチ
嫁さんの父から、僕の娘にと『バッタ君街に行く』のDVDを頂く。
ええ音楽やな〜と娘と一緒に見ていると、
何と音楽担当はホーギー・カーマイケル!
(Hoagy Carmichael アメリカのJAZZ、ポピュラー音楽の数多くの名曲を作った人。自らもシンガーでピアノ弾き)
何と贅沢なアニメや…。
本人が歌ってるのも、他のアーティストのカバーもやけど、
『Lazy Bones』と『Hong Kong Blues』をよく聴いたな〜。
『HongKong Blues』は細野晴臣さんがカバーしたのでも有名やね。
20代半ば頃だったか、平日の朝っぱらから、
ファンタグレープ片手に レオン・レッドボーン(Leon Redbone)バージョンの
『Lazy Bone』(=怠け者)を聴いていると、
同居人に「出勤する気がうせるから、頼むからやめてくれ」と殴られかけたな……。
そうです。当時、僕は無職でした。
レオン・レッドボーンの"Lazy Bones"
う~ん、確かにやる気がなくなるなぁ。
戦争中に『イマジン』を禁止するより、レオン・レッドボーンを禁止にしたほうがええかもしれんな。
1930年代に日本に来た黒人歌手 ミッジ・ウィリアムス(Midge Williams)は
なんと日本語で LAZY BONEを歌った。これが後に『上海バンスキング』で吉田日出子が歌うやつやね。
ミッジ・ウィリアムスのLazy Bones
ホーギーはこんな曲と作りながらも大忙しやったろうな……。
わたしゃ、怠け者スイッチがはいってまうので、平日に聞くと危険や。
~おまけ
背中で語ってるな……ホンマのブルースな。
http://www.youtube.com/watch?v=Kxs0SkX6m-M
◎ バッタ君街に行く
バッタ君 町に行く フライシャー兄弟 [DVD]
◎ ホーギー・カーマイケル(Hoagy Carmichael)
"Hoagy Sings Carmichael" Hoagy Carmichael (CD)
"Sometimes I Wonder" Hoagy Carmichael (CD)
本人が『Lazy Bones』を歌っている動画はコチラ。
◎ レオン・レッドボーン(Leon Redbone)
デビューアルバムが一番Lazyです。
"On the Track" Leon Redbone (CD)
なぜかあのリンゴ・スターとも仲が良い…リンゴが1曲ボーカルで参加してる。
"Whistling in the Wind " Leon Redbone (CD)
レオン・レッドボーンについての記事がある。
『アコースティック・スウィング』 鈴木カツ/宇田和弘 [著], 鈴木勝彦 [編集] (単行本)
◎ ミッヂ・ウィリアムス (Midge Williams)
"Lazy Bones"以外にも多数日本語で歌ってる。
"Complete Vol. 1" Midge Williams & Her Jazz Jest(CD)
◎ 日本語で歌う外国人
"バートン・クレーン作品集~今甦るコミック・ソングの元祖~" バートン・クレーン (CD)
米兵さん達が歌う『東京音頭』はサイコー
"オキュパイド・ジャパン~進駐軍ソング傑作選" オムニバス (CD)
リサ・ローブとエリザベス・ミッチェルによる世界の動揺(絵本付き)。ドングリころころを歌ってる。
"Catch the Moon" Lisa Loeb&Elizabeth Mitchell (CD)
◎ 細野晴臣
"泰安洋行" 細野晴臣 (CD)
2010年6月19日土曜日
チンコな名前
昨日、ネット上でだけど、春猫さん、イルボン氏と、
日本のジャズシンガー、ディック・ミネの名前でにわかに盛り上がった。
ディック・ミネの「ディック」って「ちんちん」て意味で、
あまりにちんちんがでかいから、そんな芸名になったそうや……素晴らしい名前やな。
ちょっと、下ネタな名前で思い出すのは
ジェリー・ロール・モートン(Jelly Roll Morton)
ニューオリンズのジャズ初期の偉大なピアニストで、作曲家。僕も大好きなミュージシャン。
Jelly Roll Morton - Buddy Bolden's Blues
「Jelly Roll」という言葉は、「SEX」、とか、そのまんま「お○んこ」という意味だ。
すなわちこれ、「お○んこ野郎モートン =Jelly Roll Morton」。
彼なしではジャズピアノの歴史は語れない程偉大な人なんやけど、
いやはや、すげー芸名だ。
そいえば、
イシュメル・リードの痛快なジャズ小説『マンボ・ジャンボ 』の1920年代の風景にも登場する。
レコードから流れるピアノ音楽はジェリー・ロール・モートンの「ザ・パールズ」、
取り憑くようなメランコリックな響き
お次は、
天才ピアニスト ディック・ウェルストゥッド(Dick Wellstood=「ちんちんが良く勃った」という芸名)
『マンボ・ジャンボ』の訳者の上岡伸雄さんはあとがきでこんなことを書いてる。
(1920年代には)
「黒人たちの宗教はブルースとジャズという形をとって、全米に広がりつつあった。
それは自然発生して広がるために、ジェス・グルー("jes grew"="just grow")と呼ばれ、人々に取り憑いて、熱狂的な踊りに導く。」その黒人たちの神様というのは
「歌や踊りを、セックスを、笑いを大らかに肯定する。」と。
そういう意味では
ジェリー・ロール・モートン、
ディック・ウェルストゥッド、
ディック・ミネちゅうのも
ジャズ・スピリットに溢れた名前……ということなんやろか。
とここまで書いて思うのは、
玉袋筋太郎、
って本当にすごい芸名よなぁ。
◎ ジェリー・ロール・モートン(Jelly Roll Morton)
"Last Sessions - Complete General Recordings" Jelly Roll Morton (CD)
"Anamule Dance" Jelly Roll Morton (CD)
映画『海の上のピアニスト』でジェリー・ロール・モートンが登場する。
何故か黒人さんやったな。モートンはクレオール(混血)なんで肌は黒くないんだけど
海の上のピアニスト ジュゼッペ・トルナトーレ監督 [DVD]
◎ ディック・ウェルストゥッド (Dick Wellstood)
"Live at Hanratty's [Live]" Dick Wellstood (CD)
◎ マンボ・ジャンボ関連
『マンボ・ジャンボ』 イシュメール・リード [著], 上岡 伸雄 [訳](単行本)
昨年亡くなられた平岡正明さんは『マンボ・ジャンボ』への愛を「多神教ポップ」という文章に書いている。
曰く「(『マンボ・ジャンボ』は)マイルス・デヴィス『ビッチェス・ブルー』の小説化」
『黒い神』 平岡正明[著](単行本)
マイルス・ディビス 『ビッチェズ・ブリュー』
"Bitches Brew" Miles Davis(CD)
『ヴードゥー大全—アフロ民俗の世界』 檀原 照和[著] (単行本)
◎ 20年代のピアニスト
James・P・Johnson
"Running Wild 1921-26" James・P・Johnson
Willie "The Lion" Smith
"Pork & Beans" Willie "The Lion" Smith (CD)
Eubie Blake
"Memories of You [Original recording remastered]" Eubie Blake (CD)
Luckey Roberts
"Luckey & the Lion: Harlem Piano" Luckey Roberts&Willie "The Lion" Smith (CD)
◎ アフリカン・アメリカンのスラング
『アフリカン・アメリカン スラング辞典 (改訂版)』 (単行本)
日本語の性にまつわる言葉の辞典。まじめな本ですが、おもろい。オススメ。
『いろの辞典』 小松 奎文[著] (単行本)
2010年6月18日金曜日
どうしようもなくって、鳩はなく
ペドロ・アルモドバル(Pedro Almodóvar)監督が映画『ボルベール 帰郷』を製作したきっかけは、
カルロス・ガルデル(Carlos Gardel 『Adiós muchachos』を歌った人)の作曲なる『Volver (=帰郷)』にインスパイアされてのことらしい。
この『ボルベール』を見た時、やっと自分なりのアルモドバルの作品の見方ができたように思った。
それまでは、ま〜恥ずかしい話、チェックはしてたけど、あまり作品のもつ凄さがわかんなかったんで、
『トーク・トゥ・ハー』見てももカエターノ・ヴェローゾの歌うシーン以外はどうってことねぇ、なんて、
友達にもいってしまったていた。
Caetano Veloso- Cucurrucu Paloma 映画『トーク・トゥ・ハー』で歌っている。
決して共有できないような経験、あるいは性向、どうしようもなさ。
一人でくらがりにいる孤独感でなくって、強烈に人が人に出会ってしまう事で生じる、どうしようもなさ。
共感がしづらい部分。その中のユーモア。飯とか生活とか、遊離する感覚とか、色彩とか。
自分がこの登場人物やったら、なんて、ぬるい想像がきっとできない。
できないのにしてしまったら、つまらぬ価値判断で色彩の抑揚が見えなくなる。。
アルモドバルの作品の中にはそうした要素がちりばめられている。
『Cucurrucu Paloma』という曲は、どうしようもなく恋焦がれて死んでしまった男の話。
クククク(Cucurrucu)と鳩(paloma)がなくのは、男の魂が泣いてるから…、
泣かないでおくれ、鳩よ、という歌詞。
どうしよもなさ、といえば随分昔に読んだ
手塚治虫の『ペーター・キュルテンの記録』を思い出す。
連続強姦殺人犯ペーター・キュルテンについての実話に基づいた物語。
どうすべきかとか、法的な措置とか、ええとか悪いとかの道徳判断とか、
そういった視点とはまた別に、同情や共感もなく物語(=現実に起きた出来事)はすすんでいく。
ところで、アルモドバル監督の新作『抱擁のかけら』って、関西で上映してなかったんとちゃう?
俺が知らんだけかもしらん…
◎ カエターノ・ヴェローゾの歌う Cucurrucu Paloma
『トーク・トゥ・ハー』のサントラ
"Hable Con Ella" Alberto Iglesias (CD)
カエターノ・ヴェローゾの別の作品でも歌ってる。
"Fina Estampa En Vivo" Caetano Veloso (CD)
そいえば、ウォン・カーワァイの『ブエノスアイレス』でもサントラで使われていた。
"Happy Together" (CD)
ハリー・ベラフォンテ(Harry Belafonte)が歌ってるバージョンも好き。
"Belafonte at Carnegie Hall" Harry Belafonte (CD)
なんとこの曲についてのHPもある。
公式ホームページ Cucurrucucu Paloma
「ESCUCHA AQUÍ LOS INTÉRPRETES」をクリックしたら様々な歌い手のバージョンが聞ける。
◎ ペーター・キュルテンに関して
『時計仕掛けのりんご』(「ペーター・キュルテンの記録」所収) 手塚治虫 (文庫)
『家の神』 鶴見 俊輔 (単行本)
『悪の哲学 (ちくま哲学の森)』 鶴見 俊輔 (編集), 森 毅 (編集), 池内 紀 (編集), 安野 光雅 (編集), 井上 ひさし (編集)(単行本)
殺人マニア宣言 柳下 毅一郎 (文庫)
◎ 余談 アルモドバル監督は役者選びがよい。とくにロラ・ドゥエニャス(Lola Dueñas)。
沈黙での、微妙な表情の演技力がいつもすごいな~と思う。
ロラ・ドゥエニャスが出てる作品。
『トーク・トゥ・ハー』 ペドロ・アルモドバル監督(DVD)
『ボルベール』 ペドロ・アルモドバル監督(DVD)
『抱擁のかけら』 ペドロ・アルモドバル監督(DVD)
アルモドバル作品以外では
『靴に恋して』 ラモン・サラサール監督(DVD)
『海を飛ぶ夢』 アレハンドロ・アメナーバル監督(DVD)
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