ペドロ・アルモドバル(Pedro Almodóvar)監督が映画『ボルベール 帰郷』を製作したきっかけは、
カルロス・ガルデル(Carlos Gardel 『Adiós muchachos』を歌った人)の作曲なる『Volver (=帰郷)』にインスパイアされてのことらしい。
この『ボルベール』を見た時、やっと自分なりのアルモドバルの作品の見方ができたように思った。
それまでは、ま〜恥ずかしい話、チェックはしてたけど、あまり作品のもつ凄さがわかんなかったんで、
『トーク・トゥ・ハー』見てももカエターノ・ヴェローゾの歌うシーン以外はどうってことねぇ、なんて、
友達にもいってしまったていた。
Caetano Veloso- Cucurrucu Paloma 映画『トーク・トゥ・ハー』で歌っている。
決して共有できないような経験、あるいは性向、どうしようもなさ。
一人でくらがりにいる孤独感でなくって、強烈に人が人に出会ってしまう事で生じる、どうしようもなさ。
共感がしづらい部分。その中のユーモア。飯とか生活とか、遊離する感覚とか、色彩とか。
自分がこの登場人物やったら、なんて、ぬるい想像がきっとできない。
できないのにしてしまったら、つまらぬ価値判断で色彩の抑揚が見えなくなる。。
アルモドバルの作品の中にはそうした要素がちりばめられている。
『Cucurrucu Paloma』という曲は、どうしようもなく恋焦がれて死んでしまった男の話。
クククク(Cucurrucu)と鳩(paloma)がなくのは、男の魂が泣いてるから…、
泣かないでおくれ、鳩よ、という歌詞。
どうしよもなさ、といえば随分昔に読んだ
手塚治虫の『ペーター・キュルテンの記録』を思い出す。
連続強姦殺人犯ペーター・キュルテンについての実話に基づいた物語。
どうすべきかとか、法的な措置とか、ええとか悪いとかの道徳判断とか、
そういった視点とはまた別に、同情や共感もなく物語(=現実に起きた出来事)はすすんでいく。
ところで、アルモドバル監督の新作『抱擁のかけら』って、関西で上映してなかったんとちゃう?
俺が知らんだけかもしらん…
◎ カエターノ・ヴェローゾの歌う Cucurrucu Paloma
『トーク・トゥ・ハー』のサントラ
カエターノ・ヴェローゾの別の作品でも歌ってる。
そいえば、ウォン・カーワァイの『ブエノスアイレス』でもサントラで使われていた。
ハリー・ベラフォンテ(Harry Belafonte)が歌ってるバージョンも好き。
"Belafonte at Carnegie Hall" Harry Belafonte (CD)
なんとこの曲についてのHPもある。
公式ホームページ Cucurrucucu Paloma
「ESCUCHA AQUÍ LOS INTÉRPRETES」をクリックしたら様々な歌い手のバージョンが聞ける。
◎ ペーター・キュルテンに関して
『時計仕掛けのりんご』(「ペーター・キュルテンの記録」所収) 手塚治虫 (文庫)
『家の神』 鶴見 俊輔 (単行本)
『悪の哲学 (ちくま哲学の森)』 鶴見 俊輔 (編集), 森 毅 (編集), 池内 紀 (編集), 安野 光雅 (編集), 井上 ひさし (編集)(単行本)
殺人マニア宣言 柳下 毅一郎 (文庫)
◎ 余談 アルモドバル監督は役者選びがよい。とくにロラ・ドゥエニャス(Lola Dueñas)。
沈黙での、微妙な表情の演技力がいつもすごいな~と思う。
ロラ・ドゥエニャスが出てる作品。
アルモドバル作品以外では
『靴に恋して』 ラモン・サラサール監督(DVD)
『海を飛ぶ夢』 アレハンドロ・アメナーバル監督(DVD)
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