2010年6月29日火曜日
オザケンのレンズ
オザケンこと小沢健二の京都でのライブに行って来ました。
普段は、油でそのままこさえた中華料理屋の壁のよーにギトギトした僕の頭の中も、
この日とばかりは、ちょっとは爽やかな風が吹いたはずや……。たぶん。
ライブ半ば、サプライズでスチャダラパーが出てきた! 鼻血がとびでたよ……
もちろんこの曲でロックし続けてくれた。
オザケンは1曲歌い終わるごとに、
詩のような、エッセイのような、紀行文のような文章を、淡々と、静かに朗読していた。
それもあって、会場は熱狂! というよりは、なんだか落ち着いた雰囲気。
1曲ごとに立ち上がって踊ったり、座り込んでじっと聞いてたりするライブというも何だか良い味、
オザケンは、色んな話をしていたけれど、
簡単にいうと「日常を異化する視点」というか、
「いつもの風景がいつもと違ってみえる」瞬間や経験について語っていた。
ちょっとした経験や出来事で、見えてる世界が変わってしまう。
また離れてみたり、近づいてみたりして、初めてわかることもあって、
「同じ」とおもってたものが「違う」になったり、その逆になったり。
いつも目の前のエサに飛びついてしまう僕には耳の痛い話、
そうそう、近視眼的になりすぎちゃわからんこともあるよなぁ。
このあいだ嫁さんに教えてもらったばかりのフランスのコメディアン ブノワ・ポールヴールド(Benoît Poelvoorde)。
このおっさんは、映画『ココ・アヴァン・シャネル』でエティエンヌ・バルザン役ででてたけど、阿呆うやな~。
そいえば、
数学者の森毅さんは、「できるだけ多くのレンズを集めたい」と言っていた。
レンズというのは視点、のことで、
例えば、この図の中のAとBは違って見えるんだけど、
実は同じ色なんだな、とか。
自分で補助線をひくとこではじめて見えたりもして。
レンズ(=見方)が違えば、違う形、色、像が浮かび上がるやろと。
同じ雪でも、イヌイットにとっては百種類もあったり、虹の色の数は文化によって異なるし、
僕が録りためた百本近いNBAの試合のビデオは、
オカンにとっては「黒人ばっかりで、いつも同じ試合や」となる。オカン、暴力や。
● 小沢健二
LIFE~ 小沢健二 (CD)
球体の奏でる音楽~ 小沢健二 (CD)
● ものの見方、見え方
アジアの形を読む (形の文化誌) (単行本)
森毅のレンズの話が載ってる。
見えるものと観えないもの―横尾忠則対話録 横尾 忠則 (文庫)
横尾忠則対談集~! 一々ぶっとんでてサイコー。
見えるものと見えないもの M. メルロ・ポンティ (単行本)
本家、みえるものとみえないもの
超芸術トマソン 赤瀬川 原平 (文庫)
ものの見方の達人。赤瀬川原平。
汝の敵を愛せ:Dangerous Emotions (単行本) アルフォンソ リンギス (単行本)
旅する哲学者アルフォンソ・リンギスのエッセイ。1ページ1ページの濃厚さに圧倒される。
磁力と重力の発見〈1〉古代・中世 山本 義隆 (単行本)
磁力と重力の発見〈2〉ルネサンス 山本 義隆 (単行本)
磁力と重力の発見〈3〉近代の始まり 山本 義隆 (単行本)
ある物とある物が引きよせあう不思議な力=「磁力」と「重力」を人はどういう風に見えて、どう捉えてきたか。
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