2010年7月2日金曜日

土星の話と、土星から来た男

ミクシィ上でこんな動画がUPされてた。
こりゃ、まさしくタルホ翁(稲垣足穂)の世界。




ははんこれは『一千一秒物語』やな、踏んでみてページをめくるも甲斐なし、あれ違ったっけ?
と、パラパラと他の本をめくってようやく発見。潮出版社からでてた稲垣足穂『彗星問答』。



そん中の『タルホ拾遺 −クリスマス前菜として』の『第八話 泣き上戸』

  ある晩、土星がルールブリタニアを歌いながら街角を曲ってきて、其処にあるバーへはいろうとしたが、入口に環が閊(つか)えたので、環を外して表へ立てかけておいてから、彼は入って行った。
   そのあと自転車がやってきて、ちょうどバーの内部から投げ飛ばされた酒壜を轢いて、パンクして、止った。運転手は、彼の眼の前に立てかけてある手頃な環をタイヤの代りに車輪をめて、元のように行ってしまった。    
   やがて出てきた土星は、そこに環のないことを知ったが、アスファルトの上に壜の破片を見て、彼は何事が起ったか察した。
この『彗星問答』の装画はまりのるうにいさん、
となんとこのレナウンのCMの原画を担当されたのもまりのるうにいさんらしい、
なるほろねぇ。
(まりのるうにいさんは、雑誌『遊』や千夜千冊でお馴染みの松岡正剛さんの奥さん。)







タルホ翁は土星について何篇か書いてたけど、
 そいえば
自分は土星からやってきた」と公言していた土星人ピアニストがいましたな。

彼の名はサン・ラー(SUN RA)


友人の斉藤友秋の家でよく聴き入ったものだけど、
彼はどっぷりサン・ラーにはまり、ある日レコードを全て売っていた。
なんかわかるような気がした。

京都にPOCO A POCOというレコード屋がありますが、
通りから見えるようにTVが据え付けられてあって、
流れている映像は、何故か一年中サン・ラー




ちなみに上の『泣き上戸』という話は、
『わたしのLSD』いう3話からなる作品のうちの1話としても使われている、ほんのちょっとだけ文章が違ったりする。

最後にタルホ翁の小品。この『わたしのLSD』からひとさし。


『ロビーにて』

    約束の時間に自分はロビーへはいったが、彼の姿はなかった。そればかりか、広々したロビーでは何も彼もがきれいに取片づけられていた。これはどうしたわけかと見廻していると、頭の上から彼の声が懸かった。仰ぐと、高い天井にソファーや円テーブルが逆さまにならんでいて、彼はその一つの肘掛け椅子に倚りかかってタバコの煙の輪を吐いているのだ。とたん時分は、頭の上からさかさまにぶら下がっている鉢植えのバームツリーめがけて一直線に昇って行った!








● 稲垣足穂














彗星問答―私の宇宙文学  稲垣 足穂 (単行本) 







一千一秒物語 稲垣 足穂 (文庫)
一千一秒物語 稲垣 足穂 (文庫)






人間人形時代   稲垣 足穂 (単行本)
人間人形時代  稲垣 足穂 (単行本)

松岡正剛・杉浦康平が編集・構成している。









● サン・ラー

サン・ラー伝  ジョン・F・スウェッド [著] , 湯浅 恵子 [翻訳](単行本)
サン・ラー伝  ジョン・F・スウェッド [著] , 湯浅 恵子 [翻訳](単行本)





サン・ラー ジョイフル・ノイズ [DVD]
サン・ラー ジョイフル・ノイズ [DVD]







● 松田聖子
 風立ちぬ ~ 松田聖子  [CD]
風立ちぬ ~ 松田聖子 [CD]

聖子ちゃんも「一千一秒物語」(作詞・松本隆、作曲・大瀧詠一)って曲歌ってる。

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